the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

8.18.2021

Essay note Summer 2021


《優しい香りに包まれて》Summer July

初夏の風が木立を渡ってそよぐ頃、懐かしい香りが漂い、

たわわな深い緑の葉に覆われたジャスミンの葉陰には、小さな黄白色の花が開き、

長い夏の日の夕べに涼を求めて憩う人々を、甘い香りで包みます。


《自粛の冬から春へ》

昨年、枯れ葉が舞うニューヨークに、一年振りに帰ってきました。

コロナ感染拡大防止のため、日常生活では強硬な制限措置が取られ、

長い冬を迎えました。

Thanksgiving Holiday も、家族や友人との集まりも禁じられ、

静かな晩秋から冬へと時は移り変わって行きました。

[Slide with music: Bach Cello Suite NO.1, Prelude, Yo-Yo Ma, バッハ, チェロ, ヨーヨーマ スライドと音楽をお楽しみ下さい。]

やがて足元の土の色に春を感じる頃、白樺の公園には

チューリップの球根が絨毯のように敷き詰められました。

頭上では賑やかな鳥のさえずりが、そして木から木へ

飛び交う羽ばたきが聞こえます。

桜がやっと開いて、円形の小さな公園のカーブに沿った

遊歩道をピンク色の天蓋が覆い、花吹雪がそぞろ歩く人々に降り注ぎます。

花咲く春の到来と共に、ワクチン接種が加速し、日常生活が緩和されてきました。

地球上の人々がウイルスに苛まれている時でさえ、自然は黙々と、季節から季節へと自らの命を輝かせています。 

[Slide with music: その折々の眼に映る景観や心に感じた情景をiPhoneに収めました。音楽と共にNew Yorkを楽しんで下さい。]

***
外出が思うようにできない中に、
窓辺から移り変わる景色に季節の移り変わりを楽しみ、
リハビリ通院の合間に、補助を得ながら、
ほんの僅かな時間に自然に親しんでいます。
***

≪そして、夏へ≫

ニューヨークでは、7月4日のアメリカ独立記念日から殆どの生活の規制が取り払われ、恒例の独立記念日の花火の打ち上げも盛大に行われました。

真夏、二年振りにこの夏の緑に包まれながら、ハドソン川の水面が眩しく輝く川辺で、

川風と海風に吹かれつつ平和な時の流れを感じます。少し現実を離れるひとときです。

現実の世界に戻れば、長いウイルスとの闘いの幕は閉じず、厳しい闘いが続いています。

人々の日常に様々な変化をもたらし、これから先どんな未来が展開されていくのだろうか…

現実の不安を抱えながらも、過ぎゆく夏の一日を大切に送っています。

今は、“必ずこの困難を克服して、新しい生きる道を、方法を見いだすと、

その期待が生きる力なのだ“ と思いながら、自分にも問いかけながら、勇気を与えながら、

未来を諦めなければ必ず見出せると信じているのです。

New York, Summer 2021,