the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

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毎日新聞(2010.03.05)

 
 毎日新聞(2010.03.05)より取材を受けました。

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<内容>
トップ群像 アントレプレナー奮闘記
アジアでアロマ事業展開

■香りで人の心を癒やす
ニューヨークを拠点に、ファッション業界で活躍してきた遠藤明子さんは、2001年の同時多発テロの被災をきっかけに"香り"で人を癒やす異業種のアロマ事業に乗り出した。「アジアでの事業展開は人的支援など幅広い意味がある」と語り、生産拠点をタイに置く。将来は衣食住のライフスタイル全般にわたる企画などに取り組みたいと意気込む。

 ――アロマブランドを販売していますね。

◆アロマブランド「LA LUMPINI(ラ・ルンピーニ)」を2007年に立ち上げました。オードトワレや室内を良い香りで満たすルームフレグランス、せっけんなど女性が日常生活で使う5種類の香り、6アイテムを現在、東京をはじめ全国各地の専門店や百貨店で販売しています。

 ――大手との違いは?

◆大量生産はしません。必要な数量だけ受注生産し、在庫補充しています。自然成分を維持し、小回りの利くのが私たちの特長です。心のこもった商品を一つ一つ届けるような感覚を大切に事業展開しています。
 人生をリセットするため2004年にアジアを旅行し、ジャスミンの香りに心身共に癒やされました。タイでアロマなどの原材料を扱う研究所と生産拠点を兼ねたラボラトリーを紹介され、香りで人を癒やすブランドを作ろうと起業しました。
 従業員が約30人と、ほどほどの事業規模のラボラトリーだからこそ、良い関係を築けると考えました。生産者とお客様の気持ちが通い合い、自然成分を生かした製品づくりが「ラ・ルンピーニ」の特長です。

 ――かつてファッション界で活躍……なぜ異業種での起業だったのですか。

◆同時多発テロに遭遇しました。私自身いったん死を覚悟しました。これまでの人生がフラッシュバックのように頭をよぎりましたが、幸い命からがら脱出しました。巨大なビルの崩壊を目の当たりにし、形あるモノのはかなさを実感しました。一方で大勢の人たちが救助活動にあたるなど改めて人の心の優しさに触れました。テロの被災をきっかけに心境が変化し、モノ中心から人と心にかかわるライフワークを模索し始めました。

 ――そして、"香り"に出会ったのですね。

◆香りは目に見えませんが、気分をコントロールするなど、人の感情を動かす力があります。タイは国家支援事業でボディーケアやアロマなど自然化粧品事業に力を入れています。アジアを拠点にした事業展開は、経済だけでなく人的支援など幅広い意味があると考えています。

 ――アジア市場に注目した事業展開を考えているのですね。

◆アジア各国・地域の社会的な背景は異なりますが、確実に富裕層が増えています。モノ中心から精神の充足が一層、求められていくでしょう。けっして急ぎません。女性の口コミネットワークなどを生かしながら、一人一人の生活に浸透し、確実にファンを増やそうと考えています。
 将来はアロマなど製品だけでなく、女性の精神的な充足感をもたらすような、衣食住のライフスタイル全般にわたり、製品開発や企画など幅広く取り組みたいと考えています。