the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

9.11.2013

12年目の9.11

本年も9月11日がまいりました。

今回は、先日、(株)組織デザイン代表の松崎俊道さん著『実話で迫る壁の越え方』にて紹介されました2つの詩を記させていただきます。
ブログへの掲載許可を下さいました、松崎先生に感謝申し上げます。
 


「大惨事から生き残ったあなたへ」

そのとき、すぐ目の前の
高層住宅に住んでいた。

ワールド・トレード・センターが、
ゴオー、ゴオーと恐竜の断末魔のような
叫び声をあげて崩れ落ちていった。

爆風は容赦なくビルを覆いつくす。
雨のように落下してくる残骸物。
書類や写真などが
宙を舞うように、とめどなく落ちてくる。

すべての電源がダウン。
地下にはガスパイプラインが幾重にも通っている。
このビルも崩壊する恐れがあった。

死を覚悟した。が、遺書は残せない。
きっと灰になってしまうだろう。
携帯を使った。
留守電に遺書めいたことを残した。

爆風は竜巻と化していたが、
一瞬風向きが変わった。
視界が開き青空が見えてきた。

脱出できるかもしれない。
かすかな希望を持った。


「壁を越えて」

アメリカのど真ん中
一人の小柄な日本人女性の
極限の体験

民族も文化も宗教も
まったく異なる人々と一緒に
手に手を取って逃げた

異なっているとはいえ
いや、異なっているからこそ
人として、同じ人間として
根っこで分かりあえた

すべての違いを越え
人の魂に直接触れた体験だった

行政の素早い対応にも驚いた
そして深く感謝している

日本人の私にも、一定の査定を経て
小切手がポンと送られてきた
わずか一週間後のことである
近隣の消防署には
今も直接出向いて、
感謝の活動を続けている

それまでと
それからとでは
あきらかに自分は変わった

それまではファッションビジネスに
関わっていた
どうしたら利益が出るか?
が関心事だった

それからは
どうしたら人々を支援できるのか?
と強く願うようになった

心の壁が取り払われたのである。