15年前の9月11日、爆心地から逃れて、長い一日が終わろうとしていた。
崩れるように、疲れ切った身を緑の草むらに投げ出した。
その時に仰いだ晩夏の空は忘れられない。
茜色に染まり始めた青空が、ただ、ただ、限りなく広がっていた。
誰が知ろうか、草むらに力尽きて、横たわる私を
そこから逃れて、横たわった草むらの草の匂いに、しばし、生命の息づかいを感じていた。
この先をどうするべきか、など考える力は尽きそうになっていた。
この先の事など考える事は出来なかった。
そして、地球上の一角で繰り広げられている恐ろしい現実を
いつの季節も茜色に染まりつつある青空を見上げる瞬間は、あの時の事を思い出す。
今生きている事を確かめることだけだった。