the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

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12.23.2011

活動レポート

NY消防署ボランティア活動"Morning Dew"

消防士へのクッキーを作る様子
 2011年12月23日、消防署訪問ボランティア活動を行いました。
 2001年9月11日に殉職した消防士の方々の冥福を祈るために、12月のクリスマスタイムに消防署訪問を行ったのがスタートですが、このボランティア活動を10年目の2011年に再スタートさせようと思ったのです。
 10年前にこのボランティア活動を"Morning Dew"「モーニングデュウ」と名づけておりました。即ち朝露の事です。小さな見えない行いを託してモーニングデュウとしたのですが、あの9.11から10年目に本当に再開をしようと心から思いました。

<ボランティア活動に懸ける想い>

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 2011年の冬にささやかなボランティア活動を再開しました。その小さい活動は2001年9月11日同時多発テロに被災した直後に始めました。数ヶ月間の避難生活中にも生々しい惨状は脳裏から離れる事は無く、気持ちはグラウンド・ゼロにありました。惨禍の中を救援に駆け付けた人々への支援、そして救済のために命を落とした、多くの消防士たちの冥福と哀悼の気持ちを込めて消防署を訪問したのが始まりです。あのときは誰もが助け合おうという気持ちが湧き上がり、一体感がありました。

 しかし、同時多発テロから10年。世界情勢は著しく変化し、世界経済の変動は現実生活を脅かし、皆、明日を生きるための必死な日常へと変わり、過去は遠くなり、共に分かち合った悲しみもいたわりも消えて、人々にとり9.11は遠い存在となりました。けれど季節が何度廻ろうと、遺族の心の中にはグラウンド・ゼロに消えた家族が今もありありと生き続けている。

 2011年3月11日、私は東京におり、午後2時過ぎ、激震を有楽町で体感しました。未曾有の自然災害、東日本大震災でした。一瞬にして穏やかな生活を破壊した津波の恐ろしさは世界中の人々の目を釘付けにしました。日本中の、世界中の人々の目が、心が、東北に向けられました。当事者の苦しみや、やり場のない想い、生きる事の苦しさと向き合っている毎日が、私は9.11のあのときの自分の気持ちと重なって感じられてきました。

 東北とニューヨークの2つの点をつなぎながら、私はかつてニューヨーカーたちの掲げた旗がまざまざと蘇りました。ツインタワーの画に"We will Never Forget."と書かれた旗の言葉。これを書いた時の想いは、10年後の今、全く同じ気持ちに立っているとは言えないのです。10年後に起きた大震災、3.11とつなぐとき、一瞬の同情や悲しみは共有できても、継続してあのときの想いを貫くのは当事者以外は難しいことだとつくづく思うのです。この時に到り、あの時の人への思いやりと優しさをもう一度、思い出そう。そう思い、活動を再開しました。2011年12月23日、クリスマスホリデーで街が賑わうニューヨーク、小さな小さなデュードロップたちが、お菓子を作り、消防署を訪問し、人命救助で殉職した消防士たちに祈りながら、心温まるふれあいを致しました。その記録の一部をご紹介します。

<ワールドトレードセンター跡地を訪問、消防士達の冥福を祈る>


 この場面は、日頃の感謝の想いを込めてNY消防士へ送るクッキーと手紙を用意しているところです。また、現在のワールドトレードセンター跡地を訪問し、亡くなられた消防士達に冥福の祈りを捧げました。
(iphoneより撮影)

 

<NY消防署訪問の様子>


 お休みのクリスマスタイムに消防署を訪問しました。消防士達に渡すクッキー等を持って行きました。消防士達には休みは無く、緊急出動命令で出動していきました。こうして日夜、人々の安全が保たれている事の実感を深くし、忘れてはならないと思いました。
(iphoneより撮影)
 

詩 dewdrop 

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露は誰に知られることもなく、
光の中で消えていく
人々が眠りのなかから目覚めるころ、命を潤し消えてゆく
たったひとつのしずくかもしれない
ひとつひとつが集まって大地に沁みゆくそのすがた
緑の芝に息吹を与え、そっとどこかへ消えてゆく
ひと知れず
愛するものを一瞬にして失った悲しみは、季節が巡っても消えない
その人と過ごした大切な時間が鮮明に蘇ってくる
「もういないんだね。」、遠くへ行った人々は、心の中に温もりとして残る
「もう帰らないんだね。」、心のなかで問いかけながら、己の命を前へと向かわす
人々の心のなかに、優しさが沁みいるような行い
日常生活の営みのなかで和を広げていたささやかな活動
小さな雫が集まって、ボランティアグループとなった
轟音に崩れ去るツインタワー、そこに駆け付けた消防士たち
その命もかけがえのない雫のひとつ
あの一瞬のドラマは、終生心の奥底に刻まれていく
悲しみと慟哭から、生きる事と命の重みを知った
だからがゆえに、この活動に活かしていく
ツインタワーの命、そこが終焉の場となった人々の命のメッセージ
つねに冥福を祈りながら、そのメッセージを伝えゆく

(著書『9.11のジャスミン』P48,P49より)
Voice by akiko endo
Piano by youko kimura  September 11, 2008(Thu.)


<Photograph>


ミートボール作りをしています















Winter.2011  
Photo by akiko endo