the scent of Jasmine ~ Akiko Endo Essay Blog

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詩 dewdrop(P.48)

<2008.09.11 『9.11のジャスミン』出版記念パーティーより>


<2011.08.04 La Lumpini 夏の夕べ「心を詩う香りの世界」(軽井沢 蕉雨館にて)より>


<2011.09.04 トークショー(吉祥寺アトレ)より>

dewdrop


露は誰に知られることもなく、
光の中で消えていく
人々が眠りのなかから覚めるころ、命を潤し消えてゆく
たったひとつのしずくかもしれない
ひとつひとつが集まって大地に沁みゆくそのすがた
芝の緑に息吹を与え、そっとどこかへ消えてゆく
ひと知れず
愛するものを一瞬にして失った悲しみは、季節が巡って行き
その人と過ごした大切な時間が鮮明に蘇ってくる
「もういないんだね。」、遠くへ行った人々は、心の中に温もりとして残る
「もう帰らないんだね。」、心のなかで問いかけながら、己の命を前へと向かわす
人々の心のなかに、優しさが沁みいるような行い
日常生活の営みのなかで和を広げていたささやかな活動
小さな雫が集まって、ボランティアグループとなった
轟音に崩れ去るツインタワー、そこに駆け付けた消防士たち
その命もかけがえのない雫のひとつ
あの一瞬のドラマは、終生心の奥底に刻まれていく
悲しみと慟哭から、生きる事と命の重みを知った
だからがゆえに、この活動に活かしていく
ツインタワーの命、そこが終焉の場となった人々の命のメッセージ
つねに冥福を祈りながら、そのメッセージを伝えゆく